【慢性痛ってなんだ?】急性痛と慢性痛の違い。
前回の記事に
急性痛のうちに早く対処しましょう。というお話がありました。じゃあそもそも「急性痛と慢性痛の違いは?」という疑問がわいてきます。今日は、その違いについてお話しします。その前に「痛みとは何か?」ということを説明します。
・痛みの定義
1986年に国際疼痛学会では、
「不快な感覚性、情動性の体験であり、それには組織損傷に伴うもの、または伴っている可能性のあるものと、そのような損傷があるような言葉で表現されるものがある。」
という風に定義されています。
この文章を見ても「痛み」というのは複雑なものなんだなと思います。
前回、「痛み」というのは警告信号であるという説明をしました。痛みは伝達と不快な情動を通じて警告信号としても役割を果たします。
・急性痛と慢性痛
痛みを時間的な尺度で考えてみます。同じ痛みでも昨日ケガしたときの痛みと、5年前からある痛みでは痛みの意味が全く違います。
一般的な解釈として
「急性痛」 例:昨日ケガしたときの痛み。
「慢性痛」 例:5年前からある痛み。
しかし、単に痛みの期間が長い・短いという時間的な要素だけでは、急性痛と慢性痛をはっきりと区別できません。
急性痛とは痛みが起こってから比較的早期の痛みを指し、慢性痛は3~6カ月の期間を過ぎても治らない痛みを指します。しかしながら、3~6カ月経過していなくても、痛みの原因が治ったにも関わらす痛みが続くような場合は慢性痛と呼びます。つまり「どのくらい痛かったのか?」という情報は、急性痛と慢性痛を決める一つの参考になってもそれだけで決めることはできません。
・慢性痛の定義
慢性痛とは、「急性疾患の通常の時間経過、あるいは外傷が治るのに必要と思われる期間を1カ月以上超えても持続する疼痛」とされてそのほかに「痛みの原因が治ったと思われるのにも関わらす続く痛み」、あるいは「原因そのものが治らず持続している痛み」も含まれます。
つまり、通常では痛みが治っててもよいだろうと思われる期間を過ぎても痛みが続いているもの、また痛みの原因が治まるのが難しいと思われるもの、さらに痛みの原因がないのにも関わらす痛いというものを慢性痛と読んでいます。
このように、慢性痛と一言では、語れないのですね~。
参考文献:よくわかる痛み・鎮痛の基本としくみ