「若き理学療法士の成長記録」

若き理学療法士の成長の歩みを記していきます。

慢性痛を理解していくために

誰しもがケガしたり、痛みを感じたことがあるはずです。擦り傷などのすぐよなるような痛みもあればスポーツなどやっている人の中にはなかなか治らない痛みもあったのではないでしょうか?

そんな時「なぜ痛いのだろうか?」そんな単純な疑問を抱いたかもしれません。ケガをして組織(筋・靭帯・皮膚など)が壊れると必ず痛みが起こります。しかし、同じケガをしてもその人が置かれている状況によって痛みの感じ方や大きさ、さらにその経過が違っていきます。

こんな風に単純に「痛み」をとってみても、その発生機序や経路は様々で一言で説明するには難しいです。ここでは、「痛み」について掘り下げていきながら説明できればなと思っております。

・痛みは人に必要なのか?

誰にとっても「痛み」というのは不快なものですよね。「痛み」というのは、必要なものなのでしょうか?改めて考えてみようと思います。

誰でも一度は、ドアに挟まんだり、何かにぶつかったりして「痛い」と感じた経験はあると思います。「痛み」というのは不快なものです。「痛みなんてなければいいのに。」と思う人もいるでしょう。では、痛みは不必要なものなのでしょうか。

本来、痛みは警告装置としての役割があります。そのため、人は危険にさらされた時や痛みがあるからこそ危険を察知して、危険から逃れることが出来ます。例えば、画鋲が床に落ちていて歩いている時に間違って足で踏んでしまったとしましょう。この時に「痛い」と感じたら膝を曲げてその画鋲から足を反射的に離します(逃避反射という)。このように「痛み」は危険を僕たちに教えてくれるのです。

もし、「痛み」がなかったらケガをしても気が付かないのでケガしている部分が壊死してしまい致命的な障害を起こしてしまうかもしれません。この意味で「痛み」は身体を守るために大切なシステムなのです。

ただし、警告信号としての役割があるのは急性痛だけです。慢性痛には警告信号としての役割はありません。痛みは、警告信号ですが、むやみに長く存在する必要がありません。「痛みが出現したら原因を見つけて回避する。警告信号としての役割が終われば痛みをなくす」これが痛み治療のポイントとなるでしょう。

「急性痛」と「慢性痛」ってどう違うの?という疑問が持たれたと思います。

その違いについては次回。

桑原